ずっとずっといっしょだよ

３年　すなさかあきら

　ともき君，運動会は楽しかったですか。入場行進のとき，ともき君もぼくたちといっしょに行進したんだよね。ともき君のお父さんがともき君の写真を持ってきてくれてぼくたちといっしょに行進させてくれたんだよ。あんなに運動会に出たい，出でたいって言っていたものね。やっとゆめがかなったね。
　ともき君は，ぼくにとってとっても大切な大切な友だちだよ。ぼくがつらいときやかなしいとき，そして何かにくじけそうになったときに，ともき君はいつもぼくの心の中で，
「あきら君，がんばれよ。」
と，はげましてくれるよ。ぼくは，その声にいつも助けてもらっているんだよ。
　ともき君とはじめて会ったのは，小学校の入学式の日だったね。とても体が小さくて頭の毛がうすくて，ぼくははじめとてもびっくりしたよ。なんだか近づいていけなかったよ。
　でも，それが病気のせいだということを先生から聞いて，ぼくははずかしくなったよ。
　ともき君はいつもにこにこと元気いっぱいで，おもしろいことを言ってみんなをわらわせたよね。先生やぼくたちをおどろかしたこともあったね。ともき君がとつぜんたおれて動かなくなったので，みんな心配で心配で，
「ともき君，ともき君。しっかりして。」
と，さけんだんだよ。そしたら，ともき君は，
「へっへっへえ。うそでしたあ。」
と，わらいながらにげていったね。ぼくはちょっぴり頭にきたけど，ともき君をおこれなかったよ。いたずらばかりしてよく先生やみんなをこまらせたけど，みんなともき君が大すきだったよ。体の調子がわるくて元気がないときや休みの日は，とても心配したよ。手紙をとどけるかかりにみんながなりたくて，ジャンケンできめたんだよ。知ってたかい。
　体育もなかなかいっしょにできなかったね。
「いいなあ，みんな元気いっぱい走り回れて。ぼくもみんなといっしょに走りたいなあ。」
と，ともき君はいつも言っていたね。ぼくも，ともき君といっしょに走りたかったよ。おもいきりきょう走してみたかったよ。
　二人でよくいたずらして先生におこられたね。たたかいごっこをしたり，おんぶごっこをしたりして学校中を回ったね。ともき君は，体が小さいから，いつもおんぶをするのはぼくのやく目だったね。
「あきら君のせ中は乗りごこちがいいなあ。もう一回乗せて，乗せて。」
と，何度も何度も言ったね。ともき君は，まるでぼくの弟みたいだったよ。もう一回ともき君をおんぶしたかったなあ。そして，あちこちつれていってあげたかったなあ。
　一九九七年十一月十七日。ともき君は星になってしまったね。学校で先生から，
「ともき君がなくなったよ。」
と聞いたとき，ぼくはとてもしんじられなくて，うそだあと思ったよ。あんなに元気だったのに，あんなにいっしょにあそんだのに。ぼくには，ともき君が死んでしまったとはどうしても思えなかったよ。なみだがぽろぽろとこぼれてきてとまらなかったよ。先生もみんなの目もまっ赤だったよ。先生が，
「だれか，ともき君のおそう式におわかれの手紙を書いてほしいんだけど。」
とふるえる声で言ったよ。ぼくは，すぐに手をあげたんだ。どうしてもともき君に手紙を書きたかったんだ。ほかの友だちも手をあげていたけれど，ぼくのともき君だもの，ぜったいにぼくが書くんだと思って，先生の目をいっしょうけんめいに見たんだ。そしたら先生が，
「あきら君，おねがいね。」
と言ってくれたんだよ。
　ぼくは，家に帰っていっしょうけんめいに手紙を書いたよ。ともき君の顔がうかんできて，なみだがあとからあとからこぼれてきてなかなかうまく書けなかった。でも，心をこめて書いたよ。その手紙をおそう式の日にともき君の前で読んだね。なかないように，まちがえないように歯をくいしばって読んだんだよ。きっとぼくの声はともき君にとどいたよね。終わったら，ぼくの目にはもう何もうつらなかった。なみだがいっぱいいっぱいこぼれてきた。あとからあとからこぼれてきた。
　あの日から，もう二年がたつんだね。ぼくも，みんなも三年生になったよ。でも，二年のときも三年のときも，ともき君がなくなった日には，みんなでかならず手紙を書いて，ともき君のことを思い出しているんだよ。ともき君は，いつもずっとずっとぼくたちの心の中でいっしょにいるんだね。そして，ぼくたちをいつもはげましてくれているよね。ともき君にわらわれないように，ぼくはがんばるね。ともき君の分もいっしょうけんめいがんばるよ。だから，これからも空の上からぼくたちをずっとずっと見ていてね。ともき君とぼくたちは，これからもずっといっしょだよ。